処理部品の品質

冶金学的観点から見た処理結果の改善、機械特性の向上、低歪変形の達成・・・ECMテクノロジーのイノベーションと研究開発により、熱処理とガス焼入れを使用して、処理部品の品質向上に様々な方法を活用してきました。これらの改善結果は、弊社のICBP® にすべて活かされています。

冶金学的観点から見た処理結果

当社の真空浸炭ソリューションなら、真空状態または酸素混入のないガスの分圧状態で熱処理が行われるため、まず酸化の問題がなくなります。従来のガス浸炭に比べ、浸炭層と基材の間の境界域もより均一になります。

炭素濃度プロファイルに表面の脱炭は確認されず、表面の炭素不足でグラフが釣鐘型になることはありません。

その上、浸炭深さの正確なコントロールができ、同じ部品の異なるロット間で優れた均一性が得られています。 特に歯面と歯底での炭素浸透深さの差は、従来のガス浸炭・油冷の場合に30%を超えるのに対し、真空浸炭・ガス焼入れを行う場合には15% 未満です。したがって、浸炭深さを浅く設定することができ、サイクル時間が短縮できます。更には応力および焼入れ後の歯の歪み低減にもつながります。


機械特性

粒界酸化 (IGO) が起こらないため、優れた耐ピッチング性が確認されています。

疲労強度や衝撃強度が重視される場合、例えば新世代ギアボックスでトルクを上げる必要がある場合に、ECMテクノロジーのプロセスがその威力を発揮します。

炭素と窒素(浸炭窒化の場合)の浸透を完全にコントロールした上で、真空浸炭を行うので、これにより部品表面の圧縮応力が増加し、疲労強度が高められます。当社のシステムにより、条件を最適化したうえで真空浸炭窒化(carbonitruration basse pression®) とガス焼入れを行うことで、機械特性(疲労強度と衝撃特性)の改善につながります。

歪みの低減

熱処理を行ったからといって必ずしも処理部品が寸法公差に対応しなくなる訳ではありません。ECMテクノロジーのプロセス、特にガス焼入れを採用すると、処理部品の歪み低減に効果が得られます。浸炭後の冷却速度が部品形状と熱処理条件に応じて簡単に調整できるからです。

一時的に冷却を中断するステップクエンチは、焼入れ時の材料内の熱応力を低減し、歪みの発生を抑えるための補足手段の1つです。

ガス焼入れなら、異なる部品、異なるロットで均一な処理結果が得られます。 また、大多数の歪みは予測が可能であり、歪みの振幅と方向が一様なので、場合によっては、処理前に歪みを想定した機械加工を行うことで歪み対策を講じることができます。

結果次第では、コスト高につながる最終機械加工が省略できます。 一般に、切削される材料の量は減り、機械加工のパス回数も著しく削減されます。